ロスタイムライフ

憂鬱と煩悩

Chapter5 cigarette

ホテルにチェックインを済ませ、キャリーを置いた。

 

爆音でN.W.AのStraight Outta Comptonを聴きながら窓の外を見たときの高揚感といえば言い表せない。

 

 LAの学校に通う友達が車で迎えに来てくれるまでの間ホテルの隣にあるセブンイレブンで買い物をした。

 

ホテルの前でタバコを三人で吸っていたとき一人の男がこちらに来た。

 

 コストコのカートと同じくらいのサイズのカートを引き、カゴの中にはLouis Vuittonののボストンバッグを筆頭に沢山の物を入れた身長185くらいはあるホームレスだった。

 

明らかに戦闘能力強めのホームレスが我々にこうつぶやいた。

 

「cigarette plese?」

 

 タバコをくれと言って来た。 我々三人は目配せしタバコを渡さなかった。 三人にそのホームレスがタバコをくれと言い終わり、最後の一人に聞き終わると彼は我々の足元にギリギリかからない位置にツバを吐きつけ立ち去った。

 

 腕をあげるあのアメリカ人がテレビや映画でやりがちなWhy?のあのポーズをしながら過ぎ去る後ろ姿を僕たちは呆然と見ていた。

 

 それからと言うもの、部屋の窓際でタバコを吸っていたのは言うまでもないだろう。